遺産地域の観光レクリエーション利用を概観すると、平成24年の観光客数(入り込み客数)が、遺産地域全体で約180万人であった。地域別に見ると、斜里町には126万9千人(前年比107%、ピーク時の73%)が訪れた。そのうち宿泊者数は46万人であり、ピーク時の74%に減少している。また羅臼町には53万3千人(前年比105%、ピーク時の70%)が訪れ、平成23年に比較していずれも増加した。遺産登録後のピーク時(斜里町は平成17年の173万2千人、羅臼町は平成18年の75万9千人)以降減少傾向が続き、特に昨年度は東日本大震災による観光客の減少や、福島原発事故による外国人観光客の減少等の影響が見られたが、緩やかな回復傾向にあると考えられる。
斜里町内の地区別では、利用の中心である五湖園地の利用者が40万人で、前年度に比較して10%増加した。しかし地上歩道利用者は前年度比71%にとどまった。これはヒグマの出没が例年になく多く、利用者の安全確保のために地上歩道を閉鎖した時間が長くなったことが影響していると考えられる。ヒグマの出没に左右されることなく安全に常時利用できる高架木道については、利用者数は前年度比17%の増加となった。
フレペの滝の利用者数は、昨年度と比較すると26%増となっているが、9月の利用を昨年度と比較すると約2倍となっている。連山登山道利用者数については昨年度と比較すると6%増、羅臼湖登山道利用者数は17%増、知床沼方面利用者は1%増であるが、熊越の滝利用者数は34%減、知床岬方面利用者数については60%減と激減している。
羅臼ビジターセンターの利用者数は3万5千人と、昭和58年の開設以来過去最高の利用者数となっている。岩尾別登山口および羅臼温泉登山口の入山者数は昨年と比較してわずかに増加しているが、縦走利用者は昨年の25%増となっている。これは、昨年より試行されている道路特例使用制度(平成24年:6月23日から9月23日)により、硫黄山登山口の登山者利用が可能となったことが要因であると考えられる。
図V-1. 知床国立公園全体の利用状況