ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成24年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

付録

1. 社会環境

5. 調査等事業

6. 普及啓発イベント一覧

7. 普及啓発資料一覧

9. 事務所一覧

5.調査等事業

(3)ケイマフリ・ウミネコ・オオセグロカモメ・ウミウの生息数、営巣地分布と営巣数調査

資料名

平成24年度知床国立公園ウトロ海域海鳥調査業務報告書

調査主体・事業費

環境省・約420万円

評価項目

海洋生態系と陸上生態系の相互関係が維持されていること。
遺産登録時の生物多様性が維持されていること。
遺産地域内海域における海洋生態系の保全と持続的な水産資源利用による安定的な漁業が両立されていること。
レクリエーション利用等の人為的活動と自然環境保全が両立されていること。

評価指標

営巣数とコロニー数、特定コロニーにおける急激な変動の有無

評価基準

ケイマフリ:営巣数80以上が望ましい。最低でも50を下回らぬこと。
ウミウ:営巣数700を下回らぬこと。
ウミネコ:営巣数800を下回らぬこと。
オオセグロカモメ:ウミネコの回復を妨げない。営巣数の維持。急激な変動の有無(捕食者、人為的影響)。

<平成24年度の具体的調査手法>
 ウトロ港から出航している大型観光船に乗船し、半径300m以内の上空及び海上で観察可能なすべての海鳥について種名及び個体数を記録した。
 プユニ岬からエエイシレド岬間において、海上および陸上で発見したケイマフリの個体数・位置などの情報や、巣に出入りする親鳥を観察し、巣の位置と数を記録した。洋上からケイマフリの親鳥が採食した餌資源の目視および写真判定を行ない、餌として利用されている魚種を同定した。

<平成24年度の具体的調査データ>
(1)2012年知床半島斜里町側における海鳥の海上ラインセンサス

(2)2012年ケイマフリ海上分布調査
 2012 年に観察された最高個体数は7 月16 日の140羽であった。繁殖個体が多い時期であると考えられる抱卵期と育雛期の6 月から7 月の平均個体数は、99.91羽であった。
 海上分布は、プユニ岬周辺が最も個体密度が高く、岩尾別川河口から北東側約1km と知床五湖の断崖の南西側に密度が高い海域があった。

(3)ケイマフリ営巣分布
 2012年の知床半島全域での営巣数は46巣であった。最も多かった営巣地はプユニ岬の21巣であった。男の涙湾から象の鼻まで4巣、岩尾別川から知床五湖の断崖に至る崖に20巣であった。

(4)知床半島における海鳥の営巣分布調査

<コメント>
 ケイマフリの海上個体数の経年変化については、2007年から2010年に至るまで最大個体数は100羽を切っており、平均個体数は60羽前後にとどまっている。2012年は、平均個体数が99.91羽と調査開始以来で最も多かった。海上分布調査と同時期に行ったケイマフリの営巣分布調査の結果では、プユニ岬にはこの海域最大の営巣地があることが確認されている。本年の海上分布調査でもプユニ岬周辺で個体密度が最も高かった。
 過去のデータと比較すると、2009年のケイマフリ総営巣数は35巣で2010年は21巣であった。2011年は44巣と増加し、そして2012年は46巣へやや増加した。この傾向は2009年からと同様でプユニ岬での営巣数が最も多いが、岩尾別台地から知床五湖の断崖に至る崖においても営巣数が毎年増加している。しかし、知床五湖の断崖(トークシモイ)で比較すると2004年が7巣であったが、2012年においても1巣のみと営巣地の回復が見られていない。今後も、ケイマフリの繁殖地や生息海域に影響を少なくする観光船の航路や速度などの配慮を継続する必要がある。