ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成24年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

IV 知床世界自然遺産地域の生態系と生物多様性の現況と評価

2. 河川生態系

3. 海洋生態系

3.海洋生態系

(3)海鳥類

 知床半島沿岸には、ケイマフリ、ウミウ、オオセグロカモメ等が生息しており、これら海鳥類は遺産地域内の海岸の岩場で営巣を行うなど、遺産地域内海域を主要な生息場とし、知床の沿岸生態系を特徴づけている。
 ケイマフリは、観光船等のレクリエーション利用による影響が特に大きく、その最大カウント数は平成18年の140羽を最大として減少傾向にあったが、平成23年、24年にそれぞれ142羽(観測を始めて過去最高)、140羽をカウントした。個体数密度の高い海域はプユニ岬であった。また、営巣分布調査ではプユニ岬からエエイシレド岬間において、平成23年、24年にそれぞれ計44巣、46巣(観測を始めて平成18年と並び過去最高)を確認した。
 2010-2012年度の3年間、ウトロ海域部会(座長:敷田麻実)が、知床半島で繁殖する海鳥・ケイマフリの保全と沿岸漁業、観光産業との関係の改善に取り組み、観光船が営巣地への接近を避け、加えてケイマフリの保全の啓発活動を行っている。ケイマフリの保全に向けた成果として高く評価できる。
 ウトロ側のウミネコの繁殖数は、平成13年をピークにその後激減している。ヒグマが営巣地に侵入して、卵や雛を捕獲したことが繁殖数減少の原因である可能性が高いと考えられる。
 ウミウは平成13年にウトロ海域以外の場所における繁殖数割合が増加したが、多くはウトロ側で繁殖し、その数はほぼ一定となっている。
 海鳥類では、生息数や繁殖場所の大きな年変化が見られるので、引き続きモニタリングを実施していくことが求められる。(桜井泰憲委員)