ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成24年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

付録

1. 社会環境

5. 調査等事業

6. 普及啓発イベント一覧

7. 普及啓発資料一覧

9. 事務所一覧

5.調査等事業

(9)陸上無脊椎動物(主に昆虫)の生息状況(外来種侵入状況調査含む)

資料名

平成24年度知床生態系維持回復事業エゾシカ食害状況評価に関する植生調査及び植生指標検討調査業務報告書

調査主体・事業費

環境省・約1420万円

評価項目

遺産登録時の生物多様性が維持されていること。
エゾシカの高密度状態によって発生する遺産地域の生態系への過度な影響が発生していないこと。

評価指標

動物相、生息密度、分布

評価基準

登録時の生息状況・多様性を下回らぬこと。
外来種は、根絶、生息情報の最少化。

<平成24年度の具体的調査手法>
 地表性昆虫の生息状況を把握するため8月と9月の2回ピットフォールトラップを設置し、確認された昆虫の種類を生息環境によって、森林性種、草地・林縁などの草地性種、湿地性種に大別した。また訪花性昆虫の生息状況を把握するため、スポットセンサスを行った。

<平成24年度の具体的調査データ>
○地表性昆虫
 2回の調査を通じて全体で34種が確認された。生息環境別では、森林性の種が個体数割合で98.5%をしめた。

○訪花性昆虫

<コメント>
 セダカオサムシとツンベルグナガゴミムシの個体密度が、各地域ともに各シカ高密度区で低く、各シカ低密度区で高い傾向が見られた。他の種についてはシカ密度区の間での明瞭な違いは見られなかった。
 マルハナバチは羅臼北部・南部、ウトロ地区などの、シカの影響が軽微またはない地点で個体数密度が高い傾向があったことから、シカによる採餌圧の影響(間接効果)を強く受けていることが示唆される。特に、形態や採餌行動において特殊化が進んでいる長舌型でその傾向が顕著である。
 一方チョウは、シカの影響が軽微な羅臼南部と、シカの影響が甚大な幌別岩尾別地区でそれぞれ個体数密度が高かった。ただし、前者はタテハチョウ科が優占し、後者はセセリチョウ科が優占していた。