2012年1月現在知床半島で確認されている鳥類は54科284種となっている(知床博物館HP)。確認種の中で46種が環境省レッドリストに記載された希少種であり、うち12種が猛禽類である。中でもシマフクロウやオジロワシは知床が重要な繁殖地となっており、オオワシでは重要な越冬地となっている。シマフクロウは北海道全体で約50つがいが生息しているが、その半数ほどが知床半島に生息していると推定されている(竹中、2010)。オジロワシは北海道全体で約150つがいが生息している(白木、2013)。知床半島では、2012年の繁殖モニタリング調査によって32つがいが生息すると推定され、繁殖成功率は61.5%、生産力(繁殖成否確認つがいの1つがい当たりの巣立ちヒナ数)は0.69であった(オジロワシモニタリング調査グループ、未発表)。繁殖成功率は2007年以降2011年まで70%台を保ってきたが、2012年は60%台に低下した。繁殖成功率、生産力共に横這いからやや低下傾向にあるといえる。2012年に繁殖成功したつがいのうち、4年連続して繁殖成功したつがいは1つがい、3年連続は1つがいのみで、安定した繁殖を継続しているつがいは少なかった。2012-13年越冬期のワシ類個体数は、2月17日の一斉カウント調査結果ではオオワシが318羽、オジロワシが171羽となった。知床(斜里・羅臼地域)の個体数が北日本全体の総個体数に占める割合は、オオワシが29%、オジロワシが21%であり、知床は引き続きワシ類の重要な越冬地となっていた(オジロワシ・オオワシ合同調査グループ、未発表)。 オジロワシの繁殖については、モニタリング調査を継続するとともに繁殖を阻害する要因を明らかにし、安定した繁殖が継続されるような対策を検討する必要がある。越冬期のワシ類については、越冬数の年変動とともに越冬期間中の分布・個体数の変化とその要因を明らかにする必要がある。特に半島根室海峡側では流氷期に人為的に供給される餌に集まるワシ類が多い。 道東地域のワシ類の分布と自然餌資源・人為的餌資源との関係や、人為的餌資源への依存度とその影響について調査を継続する必要がある。(中川元委員)