ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成24年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

付録

1. 社会環境

5. 調査等事業

6. 普及啓発イベント一覧

7. 普及啓発資料一覧

9. 事務所一覧

5.調査等事業

(11)河川内におけるサケ類の遡上数、産卵場所および産卵床数モニタリング

資料名

平成24年度知床ルシャ川等におけるサケ類の遡上数等の調査事業報告書

調査主体・事業費

林野庁北海道森林管理局 事業費:499万円

評価項目

海洋生態系と陸上生態系の相互関係が維持されていること。
遺産地域内海域における海洋生態系の保全と持続的な水産資源利用による安定的な漁業が両立されていること。
河川工作物による影響が軽減されるなど、サケ科魚類の再生産が可能な河川生態系が維持されていること。

評価指標

遡上数、産卵床数、河川工作物の溯上及び産卵への影響

評価基準

各河川にサケ類が遡上し、持続的に再生産していること。
河川工作物による遡上障害が実行可能な範囲で回避されていること。

<平成24年度の具体的調査手法>
◆遡上数調査
○目的:カラフトマスを対象に、遡上数推定の為の調査手法を確定させるを目的として調査を行った。(ルシャ川、テッパンベツ川、ルサ川)
○期間:8月24日〜10月19日
○方法:河口付近に定点を一箇所設置し、2時間毎に20分、定点を通過するカラフトマスの遡上数と降下数をカウントした。

◆産卵床調査
○目的:カラフトマスを対象に、ルシャ川、テッパンベツ川において産卵状況を把握することを目的として調査を行った。
○期間:平成24年9月24日〜28日、10月1日〜5日の2回
○方法:対象河川の河口部を起点とし、100mごとに区間を区切り、区間内の産卵床の全数をカウントした。

◆調査に対するヒグマの影響調査
○目的:本調査を次年度以降、本格実施するにあたって、必要となる安全対策に資する情報を得るために行った。
○期間:上記調査期間
○方法:調査中にヒグマと遭遇した場合、遭遇頭数(親、子判別を含む)、遭遇距離、ヒグマの行動内容(威嚇の有無)等を記録した。

<平成24年度の具体的調査データ>
◆遡上数調査
○遡上数等カウント結果

○総遡上数推定結果

注:遡上数等カウント結果から台形近似法(横山ら2010)1により総遡上数を推定した。

1知床半島ルシャ川におけるカラフトマスOncorhynchus gorbuschaの産卵遡上動態評価
横山ら 日本水産学会誌76(3),383−391,2010

◆産卵床調査
○産卵床数の分布(ルシャ川)○産卵床数の分布(テッパンベツ川)

◆調査に対するヒグマの影響調査
○遡上数調査時におけるヒグマの接近回数

○遡上数調査時におけるヒグマの接近による中断回数

<コメント>
◆遡上調査・産卵床数調査
・ルシャ川のカラフトマス推定遡上数(総遡上数)は、同じ不漁年(偶数年)であったH20(2008年)と比較して約2倍となった一方、産卵床密度や遡上数に対する産卵床の比率は著しく低かった。
・遡上数の推定誤差(14〜31%)は横山ら2010の誤差(22〜30%)と同程度か、それ以下であるとともに、調査手法も困難なものではないことが確認された。

○ルシャ川の総遡上数及び産卵床密度

注:H18.19.20年は横山ら2010による調査結果から
河口より3000m地点までを集計したもの。

◆調査に対するヒグマの影響調査
・遡上初期は1日あたり数回接近するが、その後減少する傾向にあった。
・遡上調査、産卵床調査ともにヒグマの出現によるデータ欠損や長時間の中断はなかった。
・威嚇行動は特にみられなかった(無反応、避けるまたは逃げるのみ)。
・安全対策や調査の配分調整により安全に調査は実施可能であると考えられるが、豊漁年(奇数年)も同様に対応可能か確認する必要がある。