ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成24年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

付録

1. 社会環境

5. 調査等事業

6. 普及啓発イベント一覧

7. 普及啓発資料一覧

9. 事務所一覧

5.調査等事業

(7)エゾシカ及び気候変動等による影響の把握に資する植生調査

資料名

平成24年度知床における森林生態系保全再生対策(広域調査)報告書

調査主体・事業費

林野庁北海道森林管理局  事業費:306万円

評価項目

遺産登録時の生物多様性が維持されていること。
エゾシカの高密度状態によって発生する遺産地域の生態系への過度な影響が発生していないこと。
レクリエーション利用等の人為的活動と自然環境保全が両立されていること。
気候変動の影響もしくは影響の予兆を早期に把握できること。

評価指標

在来種の種数と種組成、採食圧への反応が早い植物群落(ササ群落etc.)の属性(高さ・被度など)、外来種の分布及び個体数、登山道沿いの踏圧状況、ハイマツ帯の分布

評価基準

在来種の種数と種組成:1980年代の状態へ近づくこと。
ササ群落etc.の属性:1980年代の状態へ近づくこと。
外来種:根絶、登録時より縮小。
登山道沿いの踏圧:踏圧が拡大していないこと。
ハイマツ:分布や更新状況に著しい変化がないこと。

<平成24年度の具体的調査手法>
 知床半島森林域の18箇所の帯状調査区(4m×100m) において毎木調査を実施、同調査区内20m毎に設置した方形調査(5m×5m)において、毎木、下枝、稚樹、林床植生、希少植物調査等を実施しエゾシカによる採食圧を調査した。

○調査区の設定方法

<平成24年度の具体的調査データ>
○前回(2007〜08年)実施の調査結果との比較

<コメント>
・2007年に行われた結果と比較した結果、林床の忌避種被度について若干の増加傾向があり、これは森林の変化を表している可能性がある。
・林床植物は300種程度が確認され、調査区あたり20〜70種程度であったが、羅臼側のササ類が優占する調査区では4〜5種と非常に少ない場所もあった。出現頻度が高いのは、ツルアジサイ・ツタウルシ・トドマツ・シラネワラビなどで、合計被度はツタウルシ・シラネワラビ・ゴンゲンスゲ・トドマツなどが高かった。
・下枝被度において、広葉樹の下枝は、半島の基部側でより多く残される傾向があった。それ以外の地区ではほとんど存在せず、エゾシカの影響により消失したことが考えられる。斜里側高標高地でも0.5〜1.5mの高さで特に下枝が少なく、エゾシカの影響がみられた。
・稚樹調査において、トドマツの稚樹は斜里側で多くみられたが、広葉樹の稚樹は全体的に少なく、特に樹高50cm以上の稚樹は一調査区に1本程度であった。エゾシカの被食の影響により天然更新が困難な状態といえる。