○世界遺産委員会の勧告に対する対応状況報告書
平成20年7月に世界遺産センター及びIUCN(国際自然保護連合)による現地調査が行われ、これからの保全管理への助言として17の勧告が出された。これらの勧告に対する取組をまとめた対応状況についての報告書の作成にあたり助言を行い、報告書は平成24年1月に政府から世界遺産センターに提出された。
○長期モニタリング計画
遺産地域を科学的知見に基づき順応的に管理していくため、長期的なモニタリングを実施することとなっていた。順応的な管理を効果的かつ効率的に実施するために必要となるモニタリング項目とその内容について科学的知見から助言を行い、長期モニタリング計画は平成24年3月に策定された。
○第2期知床半島エゾシカ保護管理計画
知床半島のエゾシカ個体群を適正に管理するための方策を検討する「知床半島エゾシカ保護管理計画」の第1期計画期間が平成23年度末に終了することから、モニタリング結果と実施した保護管理措置、管理目標の検証を行い、社会情勢の変化も踏まえ釧路自然環境事務所、北海道森林管理局、北海道により「第2期知床半島エゾシカ保護管理計画」が策定された。
○植生指標検討部会の設置
エゾシカの個体数管理に関する世界遺産センター及びIUCNからの勧告を踏まえ、エゾシカによる植生への影響を評価するための指標を検討する部会を設置した。
○エゾシカ個体数調整
エゾシカの個体数調整の手法について検討、助言を行い、平成22年度までも実施していた知床岬地区とルサ−相泊地区に加え、平成23年度からは新たに幌別−岩尾別地区での捕獲も環境省により開始された。このうち幌別−岩尾別地区では冬期閉鎖中の道路から、ルサ−相泊地区では通行止めにした道路からの流し猟式シャープシューティングが試行された。
(流し猟式シャープシューティング:道路沿いに餌をまいておびき寄せたシカを、車で移動しながら狙撃する方法。シカが逃走して警戒心を高めないよう、その場のシカを全滅させる。)
○多利用型統合的海域管理計画の見直し
遺産地域内海域の海洋生態系の保全と、漁業や海洋レクリエーションなどの人間活動による適正な利用との両立を将来に亘って維持していくために平成19年に策定した「多利用型統合的海域管理計画」の見直しを進めた。
○河川工作物の改良
河川工作物ワーキンググループにおいて改良が適当と判断された河川工作物について、5河川13基のうち4河川12基の改良が北海道森林管理局及び北海道により終了し、それらの改良による効果の評価を行った。
○知床エコツーリズム戦略(案)に合意
遺産地域におけるエコツーリズムを含む観光利用の推進により、自然環境を保全しその価値を向上しながら知床らしい良質な体験を提供し、あわせて持続可能な地域社会と経済の構築を図るため、遺産地域の全ての関係者が、共通の将来目標と、その目標を地域主導で達成するための方法を共有することを目的とする知床エコツーリズム戦略(案)に合意した。
○ケイマフリ保護と海域利用の両立
海域の利用動向の調査を行うととともに、海域の利用状況、過去の海鳥の調査結果及び前年までの検討経緯を踏まえて、海域を利用するすべての関係者とケイマフリ等の海鳥や自然環境にとって好ましい状態について検討を行った。
○羅臼湖歩道の付替え
羅臼湖地域の既存歩道施設が貴重な湿原植生に乾燥化や土砂流入等の影響を及ぼしているほか、木道の老朽化や破損によって安全な利用が困難な状態になっているため、希少な湿原植生を保全しつつ良質な自然体験を提供するため羅臼湖歩道のルートの付替え及び対策工法について検討した。
○知床半島ヒグマ保護管理方針
知床世界自然遺産地域を中心としたヒグマ個体群の保全と地域住民や利用者との軋轢の解消を目的とする、遺産地域及び隣接する地域におけるヒグマ保護管理方針に係る統一的な基本方針の作成にあたり助言を行い、関係行政機関により「知床半島ヒグマ保護管理方針」が策定された。本管理方針について関係行政機関や地域関係団体等で合意・共有し、ともに力を合わせてヒグマと共存するための知恵を結集することをめざしている。
※各会議の開催状況については「各種会議等の開催状況」参照