資料名 | 平成23年度知床における森林生態系保全・再生対策(広域調査)報告書 平成23年度知床生態系維持回復事業エゾシカ食害状況評価に関する植生調査及び植生指標検討調査業務 |
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調査主体・事業費 | 林野庁北海道森林管理局・870万円 環境省・約800万円 |
評価項目 | 遺産登録時の生物多様性が維持されていること。 エゾシカの高密度状態によって発生する遺産地域の生態系への過度な影響が発生していないこと。 レクリエーション利用等の人為的活動と自然環境保全が両立されていること。 気候変動の影響もしくは影響の予兆を早期に把握できること。 |
評価指標 | 在来種の種数と種組成、採食圧への反応が早い植物群落(ササ群落etc.)の属性(高さ・被度など)、外来種の分布及び個体数、登山道沿いの踏圧状況、ハイマツ帯の分布 |
評価基準 | 在来種の種数と種組成:1980年代の状態へ近づくこと。 ササ群落etc.の属性:1980年代の状態へ近づくこと。 外来種:根絶、登録時より縮小。 登山道沿いの踏圧:踏圧が拡大していないこと。 ハイマツ:分布や更新状況に著しい変化がないこと。 |
知床半島森林域の36箇所の帯状調査区(4m×100m)において毎木調査を実施し、同調査区内20m毎に設置した方形調査区(5m×5m)において下枝、稚樹、林床植生、希少植物調査等を実施しエゾシカによる採食圧を調査した。
○エリア別の結果の概要
○エゾシカの立木の樹皮はぎについて、半島先端部に行くほど影響が大きく、特に羅臼側の相泊やルサ地区で高い割合が出ており、今後、同エリアで枯死していく立木が増加する懸念がある。
○イチイにおいて生存個体と枯死個体が同数程度確認された。これらは、エゾシカによる樹皮はぎの影響によるものと考えられる。その他、アオダモ、ケヤマハンノキ、ハリギリで樹皮はぎが多くみられた。
○稚樹調査の結果、トドマツの稚樹は斜里側に多く見られたが、広葉樹の稚樹は全体的に少なく、特に樹高50cm以上の広葉樹の稚樹は全体でも1調査区(150m2)に1本あるかないかの状況であった。
エゾシカの被食により、天然更新が困難な状況にあるといえる。
○林床の植物は300種程度が確認された。特に出現頻度が高かったのが、ツタウルシ、シラネワラビ、ミミコウモリ等のエゾシカの忌避植物が多くみられた。