資料名 | 平成23年度 知床生態系維持回復事業エゾシカ航空カウント業務 |
---|---|
調査主体・事業費 | 環境省・約130万円 |
評価項目 | エゾシカの高密度状態によって発生する遺産地域の生態系への過度な影響が発生していないこと。 |
評価指標 | 越冬群の個体数 |
評価基準 | 主要越冬地の密度を1980年代初頭並みに。 |
知床岬上空を低空・低速で飛行中の軽飛行機から、写真撮影と目視観察を行い、知床岬台地上および森林内にいるエゾシカの頭数と分布状況を調査した。
調査員2名が知床岬上空約300mを時速約180km/hで飛行する軽飛行機の後部座席から写真撮影と目視観察を行い調査対象範囲内のエゾシカの頭数と分布状況を記録した。台地草原上のシカはおおよその位置と頭数を記録するとともに複数枚の写真を撮影し、帰着後にパソコン上で拡大して頭数を計数した。一方、森林内にいたシカについては写真での確認が困難なため、可能な限りその場で計数した。なお写真撮影と目視観察は知床岬上空を旋回しながら5回実施した。
航空調査で確認されたシカの頭数は265頭であった。シカは知床岬灯台の東側草原に計49頭、知床岬灯台から第一岩峰にかけての草原上に計128頭、第一岩峰から文吉湾までの草原上に計80頭、第三岩峰付近の草原上と森林内に計8頭と草原上に幅広く分布し、特に知床岬灯台の西側の草原上に多くのシカが集中して分布していた。森林内に確認したシカは1頭のみであった。
表 知床岬におけるエゾシカ越冬個体数推定
メス成獣 | オス成獣 | メス子 | オス子 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|
2011年3月 | 124 | 62 | 30 | 30 | 246 |
捕獲 | 20 | 30 | 4 | 3 | 57 |
捕獲後 | 104 | 32 | 26 | 27 | 189 |
2012年6月 | 117 | 39 | 52 | 52 | 260 |
2012年3月 | 117 | 31 | 26 | 26 | 200 |
*2011年3月を初期値とし、初期値はオス成:メス成:子の比率が1:2:1。
*オスメスともに0才と1才以上の2齢階。
*出産は6月1日。
*0才の生存率は6-3月0.5、3-6月0.5で年0.25。
*オス1才以上の生存率は6-3月0.8、3-6月0.8で年0.64。
*メス1才以上はすべて毎年1頭を出産。出産性比は1:1。
図 知床岬地区におけるエゾシカの分布状況(2012年2月29日)
本調査の結果から、すくなくとも今冬について、シカは仕切柵があっても忌避することなく岬先端部の草原部に進入することが明らかとなった。
昨年度の航空調査で確認されたシカの頭数は246頭、その後の捕獲作業(平成22年度知床生態系維持回復事業エゾシカ捕獲手法調査業務)により計57頭が捕獲された。昨越冬期明けの予測頭数は246頭−57頭=189頭である。2011年3月を初期値とした場合の推定シカ越冬数は200頭(2012年3月)である(表1)。推定値200頭と観測値265頭との差が岬先端部へのシカの流入を示しているのか、初期値の誤りなのか、調査手法による誤差なのかは、岬先端部で越冬するシカの性別や年齢の構成がわからないためわからないが、本調査の結果265頭はある程度妥当性がある数字と考えられる。