資料名 | 平成23年度生物多様性の保全と活用による国立公園活性化事業(グリーンエキスパート)「知床世界遺産地域における利用の適正化と野生生物との共生推進業務」 羅臼町ヒグマ管理対策業務報告書 |
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調査主体・事業費 | 環境省 約900万円 羅臼町 約308万円 |
評価項目 | レクリエーション利用等の人為的活動と自然環境保全が両立されていること。 |
評価指標 | 出没及び被害発生の状況 |
評価基準 | 出没状況:現状を上回らないこと。 被害:人身被害が発生しないこと、その他の被害は現状以下に。 |
○ヒグマ目撃情報の収集
ヒグマ出没状況は、斜里側においては観光客などによるヒグマ目撃情報をアンケート形式で随時収集することによって把握した(以下、アンケートとする)。羅臼側においては、国立公園区域外も含む町内全域のヒグマ出没に関する通報ルート(町役場経由、主に地元住民が目撃・通報)による情報提供が主体のため、アンケート以外にそれらも含めた。アンケート用紙はヒグマを目撃した場所、日時、状況、および個体の特徴などを記入するもので、知床国立公園内にある主要な施設(知床自然センター、鳥獣保護区管理センター、知床世界遺産センター、知床五湖フィールドハウス、木下小屋、羅臼ビジターセンター、ルサフィールドハウス)に配置されている。アンケートは当財団の職員が電話や口頭でヒグマ目撃情報を入手した場合や、職員が偶然ヒグマを目撃した場合にも記録した。
2011年3月〜9月までの期間中、知床国立公園および国指定知床鳥獣保護区内におけるヒグマ目撃件数は、合計684件であり、昨年同期の573件より111件多かった。今期の目撃件数は近年同時期と比較して突出して多くはないが、北海道内の一地域としては依然として高い水準にある。
表 知床国立公園および国指定知床鳥獣保護区における地区別・月別のヒグマ目撃件数
○斜里側
斜里側の知床国立公園および国指定知床鳥獣保護区におけるヒグマ目撃件数は、合計567件であり、昨年同期の439件より128件多かった。
目撃件数を月別に集計すると、6〜9月が多く、7月に最多の263件となった。目撃件数を地区別に集計すると、幌別・岩尾別地区が最も多く321件、イダシュベツ・カムイワッカ地区83件、知床連山登山道地区が53件と続いた。
今年度は国立公園内の利用状況が若干変化し、そのため地区別のヒグマ目撃件数も昨年同期と比較して変化した。昨年度との相違点として、知床五湖園地では利用調整地区制度導入により、地上歩道の利用のコントロールが実施されるようになったこと、イダシュベツ・カムイワッカ地区では冬期通行止め期間およびマイカー規制期間を除く期間において一般車両が通行可能になったこと、知床連山登山道地区ではカムイワッカ〜硫黄山間の登山道が通行可能になったことが挙げられる。また今年度より知床五湖園地に知床五湖フィールドハウスが開設されたことにより、知床五湖周辺のヒグマ目撃情報を回収しやすくなったと考えられる。
今期においてもヒグマによる人身事故は発生していないが、危険な状況が複数確認された。
○羅臼側
羅臼側の知床国立公園および国指定知床鳥獣保護区におけるヒグマ目撃件数は、合計117件であり、昨年同期の134件より17件少なかった。
月別の目撃件数は、5〜7月に多く、7月に最多の36件となった。目撃件数が最も多かった地区は昨年と同様にルサ−知床岬地区の66件であったが、昨年の94件より28件少なかった。次いで羅臼市街地北側−岬町地区の国指定鳥獣保護区内での目撃件数が27件、湯ノ沢集団施設地区−知床峠地区での目撃件数が24件(羅臼岳登山道の羅臼温泉ルート上での3件を含む)であった。
昨年同様、ルサ−知床岬地区の目撃が最も多かった理由は、夏期に多くの漁業者が利用することに加えて、相泊以北においては登山者や海岸トレッカーがこの時期に集中するためである。今年度は、相泊において漁業作業中の番屋近くで人を気にすることなく歩き続けたヒグマが有害捕獲された事例や、死亡漂着したトドにヒグマが誘引された事例などがあった。羅臼市街地北側−岬町においても死亡漂着したトドに誘引されたヒグマが国指定鳥獣保護区から海岸へ道道を横断する姿が目撃された。湯ノ沢集団施設地区−知床峠地区では羅臼岳登山口付近で親子グマが目撃されるなど、隣接するキャンプ場の利用客との接触が危惧される事例があった。