「しれとこ100平方メートル運動」は、かつて乱開発の危機にあった知床国立公園内の開拓跡地を保全し、原生の森を復元する取り組みである。全国の多くの賛同者からの寄付によって、すべての開拓跡地の買い取りを終え、現在は、「100平方メートル運動の森・トラスト」として、森林再生、生物相復元、交流事業を柱に、運動地の自然再生に取り組んでいる。
○森林再生事業の取組
森づくり作業は運動地を5区画に分け、1年に1区画ずつ、5年でひと回りする回帰作業方式を基本としている。
平成27年度は、第4次回帰作業の3年目。秋には、トドマツ小型苗244本を苗畑から山出しし、防鹿柵の外に植え込んだ。また、昨年と同様に苗畑で育成した樹高10m近くにもなる大型広葉樹苗9本をアカエゾマツ植林地の穴地に移植する作業を行った。知床本来の森林構成である針広混交林の形成に向け、大型広葉樹苗の移植作業は、柵だけに頼らない森づくりを進めていく手法として、今後も期待しているものである。
○生物相復元事業の取組
運動地を流れる川にサクラマスを復元させる取組を行っている。平成27年度は、岩尾別川と幌別川において産卵状況調査を2回行った。親魚2尾、産卵床1箇所を確認、なお、さけます増協の協力により、発眼卵20万粒を放流した。また、カラフトマス・シロザケの自然産卵促進を目的として、ウライを開放し、上流への遡上させる取り組みを実施しているが、魚の遡上が少なく、必要な数量を確保できず、11月下旬までウライの開放はなかった。
また、平成23年度からはダイキン工業株式会社からの支援をうけ、岩尾別川で「カツラの森、命あふれる川の復元事業」を実施している。平成27年度は、河畔林の保全再生を目的とした防鹿柵の設置、過去3年間に実施した多様化作業の効果検証を行い、岩尾別川河口から空撮及び測量を行った。
○交流事業・運動地公開の取組
平成27年度は交流事業として、知床自然教室、しれとこ森の集い、森づくりワークキャンプを実施し、98名の運動参加者や町民が参加した。また、昨年に引き続き、知床自然センター隣接する運動地に、運動地公開コース「しれとこ森づくりの道ホロベツルート」を開設し、100平方メートル運動地の公開と普及に努めた。