１．エゾシカ

平成27シカ年度（平成27年6月～平成28年5月）についても知床半島で高密度状態のエゾシカの個体数調整捕獲を遺産地域内及び隣接地域で、銃による巻狩り、流し猟式シャープシューティング(流し猟式SS)、囲いワナ、大型仕切柵等で行った。最終的な捕獲数は、遺産地域内で209頭、隣接地域で435頭の計644頭であった。

		目標数
■遺産地域内（環境省）	計209頭	(370頭)
・知床岬地区	24頭	(30頭)
・ルサ-相泊地区	79頭	(210頭)
・幌別-岩尾別地区	106頭	(130頭)

■隣接地区	計435頭
・ウトロ地区（林野庁）	112頭	(160頭)
・遠音別地区（林野庁）	81頭	(130頭)
・真鯉地区（林野庁）	19頭	(50頭)
・ウトロ周辺（斜里町）	85頭
・羅臼町内（羅臼町）	138頭

(データ：平成28年度第1回エゾシカ・陸上生態系ワーキンググループ資料)

◎地区別、手法別のエゾシカ捕獲数（※シカ年度は6月から翌年5月まで）

○知床岬

平成19シカ年度から環境省による捕獲が開始され、平成27シカ年度で9シーズン目となる。仕切柵整備からは5シーズン目。流氷期（3月）にヘリコプター、流氷明け（5月）に船舶を利用し知床岬へ行っての捕獲を試み、計9頭を捕獲した。さらに、平成27年6月にも15頭が捕獲されており、平成27シカ年度の捕獲頭数は合計24頭となった。今シカ年度までの9年間に捕獲されたエゾシカの頭数は823頭となった。

○幌別－岩尾別

平成23シカ年度から環境省による捕獲が開始され、平成27シカ年度で5シーズン目となる。平成28年1月から5月にかけて、大型仕切柵及び幌別川河口の囲いワナを利用した捕獲や岩尾別橋から岩尾別川河口の区間において流し猟式SSを実施し、合計106頭を捕獲した。なお、平成27シカ年度は、岩尾別川河口の囲いワナ及び知床五湖高架木道を利用した捕獲は実施しなかった。

○ルサ－相泊

平成21シカ年度から環境省による捕獲が開始され、平成27シカ年度で7シーズン目となる。ルサ川左岸及びアイドマリ川左岸に設置した囲いワナにおいて、計48頭を捕獲した。さらに、道道知床公園羅臼線において6回実施した流し猟式SSにおいて計31頭を捕獲した。平成28年1月から4月にかけてルサ－相泊地区において捕獲されたエゾシカの頭数は、合計79頭となった。

○隣接地域

林野庁では、ウトロ地区にウトロキャンプ場及びフンベ川、弁財崎、三段滝に囲いワナを設置し、計112頭を捕獲した。また、遠音別地区において囲いワナによる捕獲の他、モバイルカリング（ＭＣ）及び巻き狩り、一般狩猟による捕獲支援のための林道除雪等を実施し、計81頭を捕獲した。さらに、真鯉地区で囲いワナや箱ワナによる捕獲と巻き狩りを実施し、計19頭を捕獲した。

遺産地域に隣接した禁猟区では斜里町と羅臼町による有害捕獲が実施され、斜里町で計85頭、羅臼町で計138頭のエゾシカが捕獲された。可猟区では、ハンターによる狩猟捕獲が実施された。