知床世界自然遺産地域では、遺産登録前からエゾシカの増加による植生被害や、河川工作物によるサケ科魚類の遡上阻害等が課題となっており、現在、その対策に取り組んでいる。
本章では、野生動物の保全管理や、河川工作物の改良等について掲載する。
平成26シカ年度(平成26年6月〜平成27年5月)についても知床半島で高密度状態のエゾシカの個体数調整捕獲を遺産地域内及び隣接地域で、銃による巻狩り、流し猟式シャープシューティング(流し猟式SS)や囲いワナ、大型仕切柵等で行った。最終的な捕獲数は、遺産地域内で338頭、隣接地域で470頭の計808頭であった。
■遺産地域内 : 計 338頭
・知床岬地区(環境省) : 73頭
・ルサ-相泊地区(環境省) : 88頭
・幌別-岩尾別地区(環境省) : 177頭
■隣接地域 : 計 470頭
・ウトロ地区(林野庁・斜里町) : 70頭
・ウトロ周辺(林野庁・斜里町) : 287頭
・羅臼町内(羅臼町) : 113頭
(データ:平成27年度第1回エゾシカ・陸上生態系ワーキンググループ資料
※知床岬地区のうち、平成27年6月8日〜10日捕獲された15頭は除外。)
○知床岬
環境省では、平成19シカ年度より捕獲を開始し、平成26シカ年度は8シーズン目となる。春期にヘリコプターや船舶を利用して知床岬へ行っての捕獲を試み、3月から5月までに合計73頭を捕獲した。平成26シカ年度までの8年間に捕獲された頭数は799頭となった。
○幌別−岩尾別
環境省では、平成23シカ年度から捕獲を開始し、平成26シカ年度は6シーズン目となる。流し猟式SSでは、捕獲エリアである道路沿いに出没するエゾシカがほとんどいなくなったため、平成25シカ年度からは岩尾別川下流部に場所を変え、15頭を捕獲した。幌別や岩尾別に設置した囲いワナや岩尾別に設置した大型仕切柵では、162頭を捕獲した。
○ルサ−相泊
環境省では、平成21シカ年度から捕獲を開始し、平成26シカ年度は6シーズン目となる。平成22シカ年度から設置しているルサの囲いワナの捕獲頭数は36頭であった。平成25シカ年度に新設した相泊の囲いワナは、例年にない暴風雪の影響により道道87号線の閉鎖が続いたため実施されなかった。流し猟式SSでは、52頭を捕獲した。
○隣接地域
林野庁では、平成25シカ年度に斜里町のウトロキャンプ場に新設した囲いワナに加え、今シカ年度は、フンベ川や遠音別地区、真鯉地区にも囲いワナを新たに設置した。さらに、巻き狩りや箱ワナ等による捕獲も実施し、合計113頭を捕獲した。
また、遺産地域に隣接した禁猟区では斜里町と羅臼町による有害捕獲、可猟区ではハンターによる狩猟捕獲が実施された。
表27.エゾシカ捕獲数の地区別、手法別の経年変化(シカ年度:6月から翌年5月まで)