知床では、海域の管理、河川工作物の改良、エゾシカの個体数調整やエコツーリズム戦略など平成20年2月に実施されたIUCN(国際自然保護連合)の現地調査により出された遺産地域の保全管理に関する17項目の勧告(課題)についての取組を進めており、これまで各勧告に対する保全状況をユネスコへ報告してきた。
平成27年6月に開催された第39回ユネスコ世界遺産委員会決議では、トドの個体数維持のための採捕上限頭数の定期的な点検・調節、ルシャ川の3つのダムの完全撤去という選択肢も含む検討及び旧孵化場に通じる道路や橋の廃止・撤去、これらの課題に対し助言を行うIUCNの諮問ミッションの招聘について検討することが勧告され、その報告が求められた。
これらの対応について、知床世界自然遺産地域科学委員会海域ワーキンググループ及び河川工作物アドバイザー会議において検討を進め、平成28年11月24日、環境省・林野庁・文化庁から外務省に保全状況報告を提出、11月25日にユネスコ世界遺産センターに受理され、平成29年に開催の第41回ユネスコ世界遺産委員会で対応状況が検討されることとなった。
(第39回世界遺産決議に係る知床の保全状況報告の内容)
○今後とも遺産地域及び周辺におけるトドの個体数を維持するために、捕獲上限頭数を定期的に点検・調節していく
○トドの年間採捕可能頭数については、日本海来遊群は科学的な計算に基づき、また、根室(知床)来遊群は北海道が定めた直近の採捕枠と同数として定めており、これらの採捕枠を超えない範囲で適正な採捕管理を行う
○トドの根室(知床)来遊群採捕上限については、今後の調査結果等を基に見直しを検討する
○ルシャ地区は、サケ科魚類の産卵環境をできうる限り自然に近い形に戻す考え
○ダムの更なる改善は、漁場への土砂流出、道路や橋への影響を考慮しながら検討
○橋の廃止は、代替路の模索を行った後、検討する予定
○ダム改善及び橋の廃止に関する検討結果は、2019(平成31)年に報告予定
○IUCNミッションの招聘は、2018(平成30)年に検討予定