ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成28年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

はじめに

知床世界自然遺産地域
区域図

第2章 課題対応
(保全管理)

1. エゾシカ

2. ヒグマ

3. シマフクロウ

4. オオワシ・オジロワシ

5. 外来種

6. 海域

7. 河川工作物

8. 長期モニタリング

9. 管理機関以外の遺産地域内での取組

1. 管理計画の実施状況一覧

第2章 課題対応(保全管理)

知床世界自然遺産地域では、遺産登録前からエゾシカの増加による植生被害や、河川工作物によるサケ科魚類の遡上阻害等が課題となっており、現在、その対策に取り組んでいる。

本章では、野生動物の保全管理や、河川工作物の改良等について掲載する。

1.エゾシカ

平成28シカ年度(平成28年6月〜平成29年5月)についても知床半島で高密度状態のエゾシカの個体数調整捕獲を遺産地域内及び隣接地域で実施した。今年度は、銃による巻き狩り、流し猟式シャープシューティング(以下、流し猟式SS)、囲いワナ、大型仕切り柵の他に、羅臼町側では船舶を用いた狙撃による捕獲を実施した。最終的な捕獲数は、遺産地域内で219頭、隣接地域で280頭の計499頭であった。

    目標数
■遺産地域内(環境省) 計219頭 (171頭)
・知床岬地区 38頭 (51頭)
・ルサ-相泊地区 79頭 (20頭)
・幌別-岩尾別地区 102頭 (100頭)
■隣接地区 計280頭 (190頭)
・ウトロ地区(林野庁) 47頭 (80頭)
・遠音別地区(林野庁) 41頭 (100頭)
・真鯉地区(林野庁) 11頭 (10頭)
・ウトロ周辺(斜里町、三者協定) 99頭  
・羅臼町内(羅臼町) 82頭  

(データ:平成29年第1回エゾシカ・ヒグマワーキンググループ資料 資料1−1別添2)

◎地区別、手法別のエゾシカ捕獲数(※シカ年度は6月から翌年5月まで)

○知床岬

平成19年シカ年度から環境省による捕獲が開始され、平成28シカ年度で10シーズン目となる。仕切り柵整備からは6シーズン目。流氷期(3月)にヘリコプター、及び流氷明け(5月)に船舶を利用し知床岬に行っての捕獲を試み、計38頭を捕獲した。今シカ年度までの10年間に捕獲されたエゾシカの頭数は、861頭となった。

○幌別−岩尾別

平成23シカ年度から環境省による捕獲が開始され、平成28シカ年度で6シーズン目となる。平成29年1月から5月にかけて、大型仕切柵及び幌別川河口の囲いワナを利用した捕獲や岩尾別橋から岩尾別川河口の区間において流し猟式SSを実施し、合計102頭を捕獲した。なお、平成28シカ年度は、新たに岩尾別地区において餌付け誘引による狙撃を4月に2回実施し、1頭を捕獲した他、しれとこ100平方メートル運動地の作業道沿線において流し猟式SSを5月に3回実施し、計8頭を捕獲した。

○ルサ−相泊

平成21シカ年度から環境省による捕獲が開始され、平成28シカ年度で8シーズン目となる。ルサ川左岸に設置した囲いワナでは2頭を捕獲した。相泊での囲いワナや流し猟式SSによる捕獲は、災害により道道知床公園羅臼線が通行止めとなった影響で実施しなかった。一方で、新たにくくりワナによる捕獲をルサ川左岸で実施し、計11頭を捕獲した。また、相泊以北の港のない海岸線では、2月から4月にかけて船舶を使用した銃による捕獲を行い、計66頭を捕獲した。ルサ−相泊地区において捕獲されたエゾシカの頭数は、合計79頭となった。

○隣接地域

林野庁では、銃による遠距離狙撃及びモバイルカリング(MC)を斜里町遠音別において実施し計12頭を捕獲した。また、囲いワナではウトロ地区に設置した4基で47頭、遠音別地区に設置した2基で29頭、真鯉地区の1基で1頭の計87頭を捕獲した。また、真鯉地区では箱ワナ3基により10頭を捕獲した。さらに、一般狩猟による捕獲支援のための林道除雪等を遠音別地区の林道2路線で実施した。このほか、斜里町、林野庁及び(株)エゾシカファームの協定(三者協定)により三段滝に設置した囲いワナでは、10頭が捕獲された。

遺産地域に隣接した禁猟区を含む地域では、斜里町と羅臼町による有害捕獲が実施され、斜里町で計89頭、羅臼町で計82頭のエゾシカが捕獲された。可猟区では、ハンターによる狩猟捕獲が実施された。


表25.エゾシカ捕獲数の地区別、手法別の経年変化(シカ年度:6月から翌年5月まで)