ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成25年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

はじめに

知床世界自然遺産地域
区域図

第2章 課題対応
(保全管理)

1. エゾシカ

2. ヒグマ

3. シマフクロウ

4. オオワシ・オジロワシ

5. 外来種

6. 海域

7. 河川工作物

8. 長期モニタリング

9. 管理機関以外の遺産地域内での取組み

1. 管理計画の実施状況一覧

5.外来種

環境省では、知床岬地区におけるセイヨウマルハナバチの駆除や、地域協働で実施する防除手法の検討を行ったほか、羅臼町と協力して、アメリカオニアザミの除去や外来植物に関する普及啓発を行った。林野庁では、淡水魚生息状況調査を実施し、遺産隣接地域内の2河川においてニジマスの生息を再確認した。アライグマが、北海道の道央を中心に分布を拡大しており、知床半島周辺でも捕獲された事例があるが、平成25年度に環境省が遺産地域内外で実施したカメラトラップ調査では撮影されなかった。

【エゾシカの個体数調整によるアメリカオニアザミの減少について】

知床岬では、平成19年度よりエゾシカの捕獲事業を実施している。この事業によりエゾシカ個体数が減少し、植生の被食が減少している。その結果、知床岬の植生の植生高や被度が高くなりつつあり、アメリカオニアザミの生育に適さない環境となったため、柵内、柵外ともにアメリカオニアザミが減少し、現在ではほとんど見られなくなった。エゾシカの個体数の減少が、植生の食害を防ぐだけではなく、外来種の生息地を減少する効果を示している。

表28.イネ科草本群落の小型金属柵内外の主な草本の推移