ホーム > 知床白書 > 知床世界自然遺産地域年次報告書(平成25年度)

 知床白書    Shiretoko White Paper

はじめに

知床世界自然遺産地域
区域図

第2章 課題対応
(保全管理)

1. エゾシカ

2. ヒグマ

3. シマフクロウ

4. オオワシ・オジロワシ

5. 外来種

6. 海域

7. 河川工作物

8. 長期モニタリング

9. 管理機関以外の遺産地域内での取組み

1. 管理計画の実施状況一覧

第2章 課題対応(保全管理)

知床世界自然遺産地域では、遺産登録前からエゾシカの増加による植生被害や、河川工作物によるサケ科魚類の遡上阻害等が課題となっており、現在、その対策に取り組んでいる。

本章では、野生動物の保全管理や、河川工作物の改良等について掲載する。

1.エゾシカ

平成25シカ年度(平成25年6月〜26年5月)についても知床半島で高密度状態のエゾシカの個体数調整捕獲を遺産地域内及び隣接地域で、銃による巻狩り、流し猟式シャープシューティングや囲いワナ等で行った。平成25シカ年度は、斜里町岩尾別に大型の仕切柵を新たに設置し、87頭を捕獲した。最終的な捕獲数は、遺産地域内で424頭、隣接地域で389頭の計813頭であった。

■遺産地域内 : 計 424頭
・知床岬地区(環境省 : 9頭
・ルサ-相泊地区(環境省) : 208頭
・幌別-岩尾別地区(環境省) : 207頭

■隣接地域 : 計 389頭
・ウトロ地区(林野庁) :  41頭
・ウトロ周辺(斜里町) : 121頭
・羅臼町内(羅臼町) : 227頭

◎地区別、手法別のエゾシカ捕獲数(※シカ年度は6月から翌年5月まで)

○知床岬

環境省では、平成19シカ年度より捕獲を開始し、平成25シカ年度は7シーズン目となる。春期に船舶を利用して知床岬へ行っての捕獲を試みたが、流氷が知床半島沿岸に居座ったために、なかなか行くことができず、捕獲の適期を逸したことから9頭にとどまった。

○幌別−岩尾別

環境省では、平成23シカ年度から捕獲を開始し、平成25シカ年度は5シーズン目となる。捕獲エリアである道路沿いに出没するエゾシカがほとんどいなくなったため、場所を変えて岩尾別川下流部で実施したが、想定よりも早く冬眠から目覚めたヒグマの出没により捕獲中止を余儀なくされ、わずか2頭の捕獲となった。

○ルサ−相泊

環境省では、平成21シカ年度から捕獲を開始し、平成25シカ年度は5シーズン目となる。平成22シカ年度から設置しているルサの囲いワナの捕獲頭数は14頭であり、今シカ年度から新設した相泊の囲いワナの捕獲頭数は、116頭であった。流し猟式シャープシューティングでは、これまでの3シーズンで最多の78頭を捕獲した。

○隣接地域

林野庁では、斜里町にあるウトロキャンプ場で平成25シカ年度より囲いワナによるエゾシカ捕獲を開始し、計41頭を捕獲した。

また、遺産地域に隣接した禁猟区では斜里町と羅臼町による有害捕獲、可猟区ではハンターによる狩猟捕獲が実施された。

表27.エゾシカ捕獲数の地区別、手法別の経年変化(シカ年度:6月から翌年5月まで)