地域連絡会議では、知床世界自然遺産のシンボルマークについて、2009 年 1 月 16 日から 3 月 16 日までの間、広く公募を行いました。全国から 595 点の応募作品が集まり、これらの作品に対して、3 月 27 日に、地域連絡会議構成員、専門家からなる知床世界自然遺産シンボルマーク審査委員会による厳正な審査が行われました。その結果、シンボルマークとして最優秀作品が選ばれたほか、つぎのとおり受賞作品が決定されました。
「知床世界自然遺産」のシンボルマーク募集については地元斜里町をはじめ、道内外から約 600 点の応募がありました。作品全体の傾向としては、ヒグマやサケ、知床に生息する動植物、雄大な山や海、空などをモチーフにしたものが大半を占め、色彩も緑と青を基調とするものが目立ちました。作品そのもののレベルは高く、丁寧に描かれたデザインには審査員の目も留まりましたが、自然や動植物をモチーフにしたものは知床に限定するマークとしての決定打に欠き、北海道に関連する他のシンボルマークとの差別化が難しいという印象がありました。
その中で、最終審査に残った優秀賞の作品は、知床半島と流氷をシンプルに表現したマーク、グローバルな視点から知床と地球を組み合わせたマーク、知床の自然をダイナミックな 3 本のラインと 3 つの色で表現したマークで、最終的には知床の自然と人とのつながりを“優しさ”で表現したマークを最優秀賞に決定しました。
最優秀作品は5色のアースカラーと 5 つのフォルムでつながった環のデザインが、世界自然遺産の選考理由である知床の特徴的な「生態系」と「生物の多様性」を表現するもので、他の応募作品には見られない発想が地元の審査員から高い評価を受けました。やわらかな優しいイメージからインパクトに欠けるという指摘もありましたが、優しいイメージ=知床の自然を大切にする思いが採用の決め手となったものです。この作品が知床世界自然遺産を表す共通のシンボルマークとして、後世まで大切に守られていくことを望むものです。
また、約 600 点の応募作品には小中学生などの子ども達から寄せられた作品も多く見られたことから、急遽、審査員 5 名による審査員特別賞を設定し、5 点の作品が選定されています。
審査日 | 平成 21 年 3 月 27 日(金) | |
応募総数 | 595 点(うち小中学生の作品 150 点) | |
1 次審査 | 地域連絡会議構成機関( 13 団体中 8 団体参加)による審査 | |
2 次審査 | 次の 5 名の知床世界遺産シンボルマーク審査委員による審査 | |
◎ 菅原 耕治 | 北海道デザイン協議会副会長 (株)アイ・エヌ・ジー代表取締役(アートディレクター) | |
○ 伊藤 千織 | 北海道デザイン協議会理事(プロダクトデザイン) 伊藤千織デザイン事務所、北海学園大学非常勤講師、道都大学非常勤講師 |
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○ 中川 元 | 知床博物館館長、知床世界自然遺産地域科学委員会委員 | |
○ 桜井 あけみ | ウトロ在住イラストレーター | |
○ 小野寺 宏二 | 羅臼小学校校長(当時) | |
※ 敬称略,◎は審査委員長 |