<背景>
エゾシカは、明治時代の大雪や乱獲の影響で一度は局所的な絶滅をしたが、知床半島では1970 年代に入ってから阿寒方面より移動してきた個体群により再分布した。同半島の主要な越冬地の一つである知床岬での越冬数カウントは1986 年の53 頭から急激に増加し、1998 年に592 頭に達した以降は増減を繰り返しながら高密度で推移している。他の主要な越冬地でも同様な高密度状態の長期化が見られる。
遺産地域の環境に影響を与え得るエゾシカ個体群の分布は、季節的な移動や亜成獣の分散を考えると、遺産地域に限られず、知床半島基部にまで及ぶ。そのため、遺産地域のエゾシカ個体群管理のためには隣接した地域まで含めた統一的な保護管理を行う必要がある。
<目的>
遺産地域とこれに隣接する知床半島基部におけるエゾシカ個体群の適切な管理を通じて、エゾシカの高密度状態によって発生する遺産地域の生態系への過度な影響を低減することを目的とする。
<基本方針>
原則として自然の推移に委ねることを基本とするが、希少植物種、または遺産地域に特徴的な在来植物種と植物群落の消失のおそれがある等の場合には、生物多様性の保全を図るため、これらを回避するための管理措置を講じることとする。
<計画期間>
知床半島エゾシカ保護管理計画は5年を1期とし、第3期管理計画は平成29 年(2017 年)4月〜平成34 年(2022 年)3月とする。第2期終了時には、モニタリング(継続監視)結果と実施した管理措置、管理目標の検証を行い、社会情勢の変化を踏まえつつ、本計画の継続・変更について検討を行う。
<計画実施主体>
本計画対象地域内では環境省、林野庁、北海道が、斜里町、羅臼町等と連携して計画を実施する。
下の一覧にある計画書名、またはアイコンをクリックすると内容をご覧になれます。
■ | 第3期知床半島エゾシカ管理計画 (平成29年(2017年)4月) |
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■ | The Third Sika Deer Management Plan in the Shiretoko Peninsula | ![]() |
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■ | 第2期知床半島エゾシカ保護管理計画 (平成24年(2012年)3月) |
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■ | エゾシカ保護管理計画実行計画 (平成19年(2007年)7月) |
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■ | 知床半島エゾシカ保護管理計画 (平成18年(2006年)11月) |
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