「酋長の家」さんの入口をくぐると、早速ケイマフリが現れた。受付カウンターの前に据えられたテーブルに、ケイマフリが乗っている。訪れた宿泊客をケイマフリが出迎える、といった形だ。チェックイン・チェックアウトの手続きをする際などにも、とかく目に触れる場所である。また一緒に解説が置かれており、「この鳥はなんだろう?」という宿泊客の疑問に答える工夫がされていた。
Q. ケイマフリを置いてみて、反応はありましたか?
やっぱり入口のすぐ前に置いているせいか、お客さんから「この鳥、なに?」と聞かれることが多かったですね。特に「明日観光船に乗るんです」というお客さんには、ケイマフリという珍しい海鳥がいるから、是非探してみてください、と双眼鏡を貸し出すサービスをしています。観光船ツアーから戻ってくると早速、「ケイマフリ、いたよ!」と言って、喜んでくれましたね。(笑)
Q. 「酋長の家」さんの魅力を教えて下さい。
やっぱりうちの特徴は「アイヌ」ですね。名前が「酋長の家」というのも、この民宿を始めた僕の祖父が、元々阿寒湖でアイヌの酋長をしていたからですしね。
食事にもアイヌ料理をお出ししています。たとえば、「ラタシケップ」という料理。これはアイヌ語で「混ぜ合わせたもの」という意味で、カボチャ・豆・トウモロコシなどを茹でて、塩と一緒に混ぜる料理なんですが、これは味付けがシンプルで優しく、女性好みな感じです。
それから僕の母がウトロに来ている時は、夕食時にアイヌにまつわる色々な話をお聞かせしています。アイヌの文化や、民話についてなどですね。
Q. 「知床の魅力」とはなんだと思いますか?
一言でいうならば、「ふところの深い大自然」だと思います。
知床には本当にたくさんの人が訪れます。たとえば、釣り、山登り。最近は自転車に乗る人も多いですね。それから、バイク。ダイビングやパラグライダー、気球をする人も知っています。僕もこの夏は子供とシーカヤックを楽しんでいました。(笑)またそういうアウトドアだけでなく、温泉もたくさんある。
たくさんの人がやってきて、みんなそれぞれ、多種多様な「知床の魅力」を見つけられる。そういうところに、「知床の自然はふところが深いな」と感じます。
Q. 今後、知床とどのように関わっていきたいですか?
この民宿の仕事を通して、自分だけの「知床の魅力」を見つけている人達に出会いたいです。
たとえば今年の夏、うちに1週間泊まってくれたお客さんで「知床の岩が好きだ」という人がいました。1週間、毎日硫黄山に通って、朝から夕方までずっと岩の写真を撮っているそうです。知床には、羅臼岳とか、他にもたくさん山があるでしょう?だけど他の山には行かずに、ずっと硫黄山。その方が言うには、硫黄山にはものすごく色んな岩があって「もう硫黄山だけで手一杯なんです」、と本当に楽しそうに話してくれるんですよ。
そんなふうに、自分だけの「知床の魅力」を見つけている人と出会うと、やっぱり知床は面白い場所だと思いますし、この民宿という仕事の面白さでもあると思いますね。
「温泉民宿旅館 酋長の家」
〒099-4355
北海道斜里郡斜里町ウトロ東124
TEL: 0152-24-2742
FAX: 0152-24-2777
WEB: http://www8.ocn.ne.jp/~siretoko/
〒099-4354
北海道斜里郡斜里町ウトロ西186-10
知床世界遺産センター内
TEL 0152-24-2297
FAX 0152-24-3646
〒085-8639
北海道釧路市幸町10-3
釧路地方合同庁舎4階
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