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知床世界自然遺産地域 ケイマフリプロジェクト
適正利用・エコツーリズム検討会議 ウトロ海域部会

地域の取り組みConservation

知床半島における海鳥の生態調査

知床半島におけるケイマフリの生息状況をはじめ他の海鳥類の生息状況について毎年生態調査が行われています。ケイマフリは切り立った断崖に営巣するため容易に近付く事は出来ません。断崖という厳しい生息環境が調査を困難にしています。ケイマフリの生態の多くが解明されていない原因の一つです。
調査は主に小型船舶を利用し沿岸から観察します。
 そのほか知床半島における海鳥類の広域調査も実施されており、季節毎の種ごとの分布エリアや個体数などをモニタリングしています。海上での観察は種の同定、個体数のカウントなど高い調査技術が求められます。


調査では大型観光船の「おーろら号」(道東観光開発株式会社)の協力を得て行われています。また調査結果はウトロ地区の観光船事業者をはじめ地元関係者に情報提供されており、専門家・研究者による地域還元の一つの形が実現されています。




ケイマフリデコイの設置


平成23年(2011年)には、かつてケイマフリの繁殖が見られたトークシモイ(通称コケシ岩)の断崖迫る湾に、ウトロ海域では初めてケイマフリのデコイ(海上型1基)が設置されました。ケイマフリほか多くの海鳥は集団で生活する習性があります。この習性を利用してかつての繁殖地にケイマフリを復活させようとする試みです。しかしデコイの効果は時に在来の生息個体の生活形態を混乱させ、悪影響を及ぼす事があります。今後は細心の注意を払い、検証を重ねながら徐々に設置数を増やしていく計画となっています。


海上設置作業では地元のウトロ漁業協同組合から作業船や設置用資材の提供協力を頂き、設置位置や設置方法についての技術的なアドバイスを受け設置されました。このように地域の理解と協力のもとにケイマフリの保護活動は進められています。






  

 陸上設置型デコイ

素材はFRP製で強度を上げるため各部位の作りは丸くなっている。胴体下部に設置用のネジ棒が付いており岩盤や岩に直接設置出来るようになっている。
 海上設置型デコイ

同じく素材はFRP製で2体のケイマフリデコイがフロート板に載っており水面に浮くような仕組みになっている。本体下部には金属製のバランサーポールがあり波や風を受けてもひっくり返らない。ポール下端からはロープを介してアンカー(岩などの天然素材)が結ばれ海底に固定される。


ケイマフリをシンボルに・・・地域連携による取り組み

斜里町ウトロでは漁業関係者、観光船事業者、シーカヤックガイド、宿泊業事業者、研究者、専門家、地域住民、そして行政機関らの地域連携によりケイマフリをシンボルとしてウトロの海域環境保護への取り組みが動き始めました。

多くの観光利用者が訪れる知床国立公園地域、世界自然遺産地域において、どのように人間の社会活動と自然環境の保全・保護の両立を実現するか?それは規制によるものではなく、自然環境を利用しながら保護も実現する「人間と自然環境の”良い関係づくり”」を目標とした保護の取り組みです。

まずはケイマフリについて詳しく知る事、そして取り組みに関する意見交換や情報交換の場として「海鳥ミニ出前講座」を開催しています。今後はウトロ地区各所でのケイマフリPR展示や「海鳥繁殖地海上出前講座」(仮題)など地域の方々が主体となった取り組みを展開していきます。








環境省ウトロ自然保護官事務所

〒099-4354
北海道斜里郡斜里町ウトロ西186-10
知床世界遺産センター内
TEL 0152-24-2297
FAX 0152-24-3646

環境省釧路自然環境事務所

〒085-8639
北海道釧路市幸町10-3
釧路地方合同庁舎4階
TEL 0154-32-7500
FAX 0154-32-7575